ユニット概要
熱帯林研究ユニットとは
平成28年12月に設立された熱帯林保全と社会的持続性研究推進ユニット(以下熱帯林ユニット)は、熱帯林生態系とそれに大きく依存する人間社会を対象とする研究者間での越境型の共同研究を促進し、気候変動対策や持続可能な開発目標に関わる協力体制を構築するとともに、国内外の大型プロジェクト間の連携により、社会や世界に類を見ない独創的な異分野融合教育研究活動を推進することを目的に京都大学の12部局の研究者を構成員として設立されました。
熱帯林が果たす役割と持続可能な社会
1980年代から国際的な環境問題として注目が高まった熱帯林の劣化/減少の問題は現在も続いており、昨今は気候変動の緩和・適応対策や持続可能な開発目標の中で、熱帯林が果たす役割は以前にも増して大きくなっています。気候変動緩和の観点からはパリ協定で合意された「途上国の森林減少・劣化に由来する排出の削減メカニズム(REDD+)」の2020年からの実施に向けた多くの研究が、世界規模で展開されています。また2016年から2030年までの国際目標として国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)では17の目標が設定され、目標15では「陸上生態系の保全、森林の持続的な管理、生物多様性損失の阻止」が定められ、さらに貧困削減、気候変動などを定めた他の目標と森林の問題は密接に結びついており、熱帯林の持続可能な保全管理の仕組みや社会生態システムの確立に向けた研究・実践が強く求められています。
分野横断型・越境実践型の研究へ
熱帯林での問題はさらに深刻化、複雑化しており、熱帯林に関する分野横断型・越境型の研究の重要性が指摘され、熱帯林研究に携わる多分野の研究者の一層の協力が必要とされています。京都大学では、多くの部局で熱帯林に関する先端的な研究が長期にわたって行われ、生態学、社会経済学、人類学、環境学、薬学、医学などの分野の研究者とその成果は、世界的にも高く評価されています。
同ユニットでは、国際林業研究センター,国際アグロフォレストリー研究センターなどの国際研究機関、大学などと連携を図りながら,京都大学の幅広い熱帯林に関連する研究の国際的な認知度を上げるとともに,昨年合意された国連気候変動枠組み条約のパリ協定、2030年までの国際目標として国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成に資する研究教育を進めます。熱帯林を有効に利用しながら保全をはかり社会の持続的発展につながり、気候変動の影響の緩和適応において熱帯林の果たしてきた役割を明らかにするなかで、統合的、越境型、実践研究の確立を図ることを目的にする。パリ合意のもと、2020年以降、様々な熱帯林保全修復、気候変動への緩和適用策の完全実施に向けた準備段階に進むため、本ユニットでは、それらの活動に携わるフィールドでの実践を中心とした地域の熱帯林保全修復の即戦力となるプロフェッショナル人材の育成に注力します。